お金には「価値の保存機能」があります。この機能を利用して、お金を貯めることにより資産を形成することが出来ます。また、単純に現金を貯める「現預金」以外にも様々な種類の資産が存在します。ここでは投資対象となる資産の種類と、その特徴について確認していきましょう。

現預金

現預金とは「現金」と「預金」のことを指し、日常的に使う「手持ちの現金」と「貯金」に当たるものです。現金とは現金通貨のことを指し、現在の日本を例に挙げれば日本銀行券(紙幣)と政府発行の貨幣(硬貨)がそれに当たります。預金とは銀行などの金融機関に預けられた金銭のことを指します。

資産として現預金をみた場合、「短期的には価値が変わりにくいが、長期的には価値が漸減していく」という特徴があります。現預金は景気の影響を直接的に受けて価値が上下したりはしない為、数年単位で考えれば価値はほぼ変化しません。ただ数十年単位で考えると、価値は徐々に低下していってしまいます。これは歴史的にみて資本主義国家では一貫してインフレが続いていることが理由として挙げられます。明治時代の一般的なお給料が10円~20円程度であったことを知ると、いかに長期的なインフレによって現預金の価値が漸減していくかイメージしやすいと思います。明治時代においては一カ月生活できる分だけの価値が、現代ではうまい棒1、2本分の価値にまで下がってしまう訳です。

現預金

株式

株式とは、株式会社が資金調達のために出資者(株主)に対して発行する有価証券です。日常的には「株」と呼ばれます。株主は株式会社が上げた利益の一部を配当という形で受け取ることが出来ます。さらに、利益成長に対する期待などを背景に株価が上昇すれば、値上がり益を得ることも出来ます。

株式は「短期的には価値の増減が大きく、長期的には経済成長と強い関係がある」という特徴があります。数年単位やより短い期間で考えると、景気等の影響により大きな価値の変動があり、他の資産と比較してハイリスクハイリターンの資産であるといえます。長期的に見れば、株式市場全体は世界経済の成長を背景に、他の資産を上回る価値の上昇が期待されます。

株式

不動産

不動産とは、土地や建物などの動かすことのできない資産のことです。

不動産の資産価値は「経済的要因や社会的要因」が大きく影響します。景気サイクルによるオフィスや商業施設、住宅の需要の変動や、投資マネーの流入による価値の増減が起こります。また、大規模イベント(オリンピック等)の開催や税率の変更など社会的に大きな事象の影響を受けることもあります。

不動産

債権

債券とは、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。国や企業にお金を貸す代わりに利子をもらう、というイメージです。

債権の資産価値は「金利の影響」を大きく受けます。通常好景気では金利が上昇するので債権の価格は下がり、不景気になり金利が低下すると債権の価格は上昇します。

債券

コモディティ(貴金属・エネルギー資源・農作物)

貴金属とは、一般的に「高価で貴重な金属」のことを指します。ゴールド(金)、シルバー(銀)、プラチナ(白金)、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムが挙げられます。

貴金属には、「価値の希釈化が起こらない」「景気による影響を直接的に受けない」という特徴があります。貴金属は貴重な金属であるため、短期間で流通量が大幅に増えるといったことはありません。そのため、円やドルなどのようにインフレにより価値が低下する心配がありません。また、貴金属の資産価値は「実際の需要と供給」の影響も大きく受けるため、株式のように景気の影響を直接受ける心配もありません。特に貴金属の代表であるゴールド(金)は、上記の特徴からインフレや不景気といったリスクに備えることが出来る安全資産として広く知られています。

貴金属の他、エネルギー資源(原油・天然ガスなど)や農作物(小麦・大豆・とうもろこし・砂糖・カカオなど)も投資の対象となっています。

コモディティ(金)

暗号資産

暗号資産とは、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を用いたデータ資産のことを指します。代表的なものにBitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)が挙げられます。

現時点では利用者の需給関係などのさまざまな要因によって、資産価値が大きく変動する傾向があります。誕生してから十数年と歴史が浅い為、資産としての位置づけは明確とはいえない状況にあります。

暗号資産(ビットコイン)

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