投資の対象として、代表的なものに「株式」や「債券」、「金」などがありますが、その成り立ちには様々な歴史がありました。それぞれの誕生した経緯や、歴史を見ていきましょう。

紀元前から貴重品として利用されてきた金

金

最古の文明の一つであるシュメール文明の繁栄期は紀元前6000年頃とされていますが、この時期において既に金を生活に取り入れていたと伝わっているそうです。その後誕生した古代文明でも金は貴重品として扱われ、特にエジプト文明では宗教上非常に重要な意味を持ち、数多くの装飾品が作られました。紀元後には中国・ヨーロッパ・日本でも多く採掘され、権威を表す王印や金細工、金貨などとして利用され、近代国家誕生後は金を貨幣の基本とする金本位制度が確立しました。

現代では主に装飾品、産業の材料、投資目的で利用されています。

中世ヨーロッパの都市国家で行われた戦費調達を起源とする債権

債券の起源は12世紀頃、イタリアの都市国家で戦費調達を目的に発行されたそうです。

現代では主に国債、社債として資金調達を目的に発行されています。

中世ヨーロッパの都市国家で行われた戦費調達を起源とする債権

大航海時代に資金調達方法として誕生した株式

大航海時代に資金調達方法として誕生した株式

株式の仕組みは15世紀から17世紀の大航海時代における資金調達方法として始まったそうです。冒険家が航海をするための資金を資産家が援助し、貿易が成功した際に利益の分配を受けとる仕組みが株式投資の原型と言われています。

現代でも基本構造は同様で、株式会社に投資家が資金を提供し、事業活動の利益を受け取ることを目的に投資が行われています。

江戸時代の大坂で生まれた先物取引

17世紀末、大阪・堂島において米商人たちの間で自然発生的に米の先物取引が行なわれるようになり、これが組織的な先物取引の起源とされています。江戸時代、武士の俸給は米で支給される等、米は経済の基盤となる食料でしたが、収穫期にならないと相場(価格)がはっきりとしませんでした。このことは収穫前に一定量を確保したい人や、事前に売買価格を決めておきたい人などにとっては大きな問題でした。そこで、こうした人々が経済の中心地であった大坂に集まり、事前に売買価格を決める取引を行ない先物市場が形成されていったと言われています。

現代では、エネルギー資源や農作物を対象とした「商品先物」と株価指数等を対象とする「金融先物」が取引されています。

江戸時代の大坂で生まれた先物取引(米)

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